水のはなし

湧水が持つ危険性

 長野県には名水と称される湧水が沢山あり、「おいしい水」として地域の住民や観光客等により飲用されているものも多い。しかし、これらの湧水は「水道法」の適用外であることから、多くの湧水はその土地の管理者等による水質検査が行われていないのが実態である。湧水には以下の通り様々な汚染が危惧される。 

・湧水地周辺が不適切な環境保全状態にあると、キツネ等の野生動物の糞便等により大腸菌、クリプトスポリジウム、エキノコッカス等の病原微生物で汚染される可能性がある。
・地質由来の元素、例えばヒ素やフッ素が湧水に含まれる可能性がある。特に温泉が近隣にあるとこれらの元素が多いことがある。
・かつて湧水地付近に鉱山があった場所では、その鉱山で採掘していた鉱石由来の元素、例えばマンガン、亜鉛、鉛等の重金属による汚染が心配される。
・近年、湧水地には多くの人々が訪れるため、それらの人々によるゴミの不法投棄や排泄により湧水周辺の環境が汚染されることすらある。
・湧水の上流部に家畜飼育施設があったり農地がある場合は、湧水が大腸菌汚染されたり硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の濃度が高いことがある。
・湧水の上流部に産業廃棄物の不法投棄があった場合は、湧水が廃棄された廃棄物由来の汚染を受けることがある。